筑波大学 知的コミュニティ基盤研究センター
シンポジウム
大災害における文化遺産の救出と記憶・記録の継承2014
―被災文化遺産の救出と“その後”―
1.開催趣旨
東日本大震災から3年が経過した。マスコミ等で被災地の現状が報道される機会は徐々に減り、人々の関心も希薄になりつつある。一方被災地では、喧伝される復興のかけ声にもかかわらずその歩みは小さく、地域の人々がその場に暮らし続けることの困難さを増大させている。さらに福島県浜通り地区では、終息の見えない福島第一原発事故のため今も被災が進行している状態である。
この状況下で、被災した文化遺産の救出、保全、修復活動は、地道ながら着実に続けられてきた。文化庁による「文化財レスキュー事業」は平成25年度末で終了して、その後は各都道府県単位で取り組むこととなった。福島県では、新たな文化財レスキュー会議の下で、文化財等の救出活動が続いている。最近では、救出・保全された文化遺産を地元へ返還し、それらの文化遺産から得た知見を地元へ還元・普及する活動も行われ始めた。
被災文化遺産の保全・継承は、その継承母体であるコミュニティの再生なくして確実な継続が保障されない。また、コミュニティの再生において住民のアイデンティティを喚起する被災文化遺産の存在は重要である。この意味で、地域における記憶装置としての図書館・博物館・資料館・文書館の意義もますます深まっていると言えよう。いま、これらを効果的に結びつけるための、具体的な取り組みが求められている。
筑波大学知的コミュニティ基盤研究センターは、茨城文化財・歴史資料救済・保存ネットワーク等との共催で、2013年3月にシンポジウム「大災害における文化遺産の救出と記憶・記録の継承―地域コミュニティの再生のために―」を開催し、文化遺産救出・保全活動の現場における現状と課題を共有した。今回のシンポジウムは、その第2弾として、救出・保全された被災文化遺産の“その後”、すなわち資料の整理、地元への返還、情報発信等をめぐる活動の現状と課題に関する御報告をいただく。そして報告者及び参加者による意見交換を通じて、情報及び課題の共有化を目的とする。
2.主催・共催(予定・五十音順)
<主催>
筑波大学知的コミュニティ基盤研究センター
<共催>
茨城文化財・歴史資料救済・保存ネットワーク
筑波大学図書館情報メディア系
双葉町教育委員会
3.後援(予定・五十音順)
茨城県教育委員会
茨城大学
茨城地方史研究会
全国歴史資料保存利用機関連絡協議会
日本アーカイブズ学会
歴史資料ネットワーク
4.日時
2014年3月15日(土) 13時30分~17時
5.会場
筑波大学春日エリア 情報メディアユニオン1階 情報メディアユニオン講義室
6.次第・報告者等(予定)
13:00 開場
13:30 開会
※司会:添田 仁(茨城大学人文学部准教授、筑波大学知的コミュニティ基盤研究センター客員研究員)
あいさつ
・杉本重雄(筑波大学図書館情報メディア系教授、筑波大学知的コミュニティ基盤研究センターセンター長)
13:40 第1部:茨城における被災文化遺産の救出とその後
高橋 修「茨城史料ネットによる被災文化遺産の救出・保全活動」(仮)
(茨城大学人文学部教授、茨城文化財・歴史資料救済・保存ネットワーク代表)
久信田喜一「茨城地方史研究会による被災文化遺産の救出・保全活動」(仮)
(茨城地方史研究会副会長)
14:40 休憩
14:55 第2部:福島における被災文化遺産の救出とその後
高橋 充「福島県立博物館による被災文化遺産の救出・保全活動」(仮)
(福島県立博物館学芸員)
白井哲哉「双葉町教育委員会と筑波大学による震災関係資料の保全作業」(仮)
(筑波大学図書館情報メディア系教授)
15:55 休憩
16:00 総合討論
17:00 閉会
17:15 会場撤収
7.定員・申込・参加費
150名・事前申込(専用アドレスによる)だが当日参加も可・無料
8.関連企画
情報メディアユニオン 2階 「復興・再生支援プログラム」プロジェクトスタジオにおいて、双葉町役場埼玉支所で保全された震災関係資料の見学会を開催。
9.担当・問い合わせ
筑波大学 知的コミュニティ基盤研究センター
〒305-8550 つくば市春日1-2 筑波大学大学院図書館情報メディア研究科
TEL: 029-859-1524 e-mail : shinsai-sympo@dl.slis.tsukuba.ac.jp