本研究集会は、
日時:2023年11月3日(金)16:00-18:00
開催方法: オンライン(Zoom)
言語:英語・日本語(同時通訳あり)
講演者:アンドレア・ホーマイヤー(Andrea Hohmeyer)氏
タイトル:「過去に学び、現在と向き合う―エボニック インダストリーズ社の想起の文化と企業アーカイブズ」
(原題:Learning from the past to cope with the present—The Contribution of the Corporate Archives to the culture of remembrance of Evonik Industries AG)
開催趣旨:
1933年から1945年の間、ドイツ企業の多くが直接的・間接的にナチスによる強制労働をはじめとする人権侵害、さまざまな不正義に加担することになりました。1990年代以降、冷戦後の社会的変化のなかで、ドイツ企業はナチス時代の過去に向き合うことを求められました。そうした企業の一つであるデグサ社が自らの過去と対峙する一つの方法として選んだのが、アーカイブズとそれが可能とする緻密な歴史研究でした。デグサ社を前身会社の一つとし、その歴史を引き継いだエボニック インダストリーズ社(Evonik Industries AG)も、「過去に学び、現在と向き合う」をモットーに、ナチス時代の歴史を学び、記憶し続けることを社員教育の重要な一部としています。同社のアーキビストは、様々な部門と連携し、現代社会における差別や排外主義、人権侵害を許さないという企業の姿勢を社員に、そして社会に示すための活動の一翼を担っています。
しかし、自らの過去に誠実に向き合うことには、困難も伴います。
そこで本研究集会では、エボニック社のアーキビストであるアンドレア・ホーマイヤー氏をお招きし、ナチス時代の経験を現代社会の課題解決に活かそうとする企業のアーキビストとしてのご経験を踏まえてご講演いただきます。ご講演のあと、炭鉱における労働社会史をご専門とする佐川享平氏(国立歴史民俗博物館)よりコメントをいただいたうえで、参加者とともに、企業アーカイブズおよびアーキビストの現状や課題について議論を深めます。
ふるってご参加ください。
講演者プロフィール:
アンドレア・ホーマイヤー氏(エボニック インダストリーズ社アーカイブズ)
フランクフルト・アム・マインのゲーテ大学で博士号(ドイツ文学)取得。1994年より、化学企業デグサ社のコーポレート・アーキビストとして勤務し、2001年からはデグサ・グループのアーカイブズの責任者となる。2007年、ドイツの有名化学会社5社の合併によるエボニック インダストリーズ社設立の際、5社のアーカイブズ統合に関わった。
アーカイブズのトップとして、企業アーカイブズの戦略、コレクションの継続的拡大、社内外の利用者へのサービス提供に責任を負う。2016年~2020年には、女性雇用の歴史に関する展示会、エボニックとその前身企業の歴史に関する書籍の編纂・出版などの企画・運営などの活動を主導した。エボニック社の想起の文化にとって、氏を始めとするアーキビストは、前身企業のナチス時代に関する高度の専門的知識ゆえに不可欠な存在となっている。
ドイツ・ビジネス・アーキビスト協会(VdW e.V.)副会長、国際アーカイブズ評議会(ICA)ビジネス・アーキビスト部門運営委員、ルール地域史財団・科学諮問委員。ドイツ経営史協会(GUG e.V.)では企業会員であるエボニック社の代表者として活動している。
コメンテータ:佐川享平氏(国立歴史民俗博物館)
ファシリテータ:鎮目良文氏(たばこと塩の博物館)
主催:日本アーカイブズ学会
参加費:無料
プログラム(予定)
16:00 開会・開催趣旨説明
16:15 講演 アンドレア・ホーマイヤー氏(エボニック インダストリーズ社アーカイブズ)
17:00 コメント 佐川享平氏(国立歴史民俗博物館)
17:15 質疑と討論
18:00 閉会
参加申込み:開催前日までに下記URLからお申し込みください。
https://forms.gle/1oeknZpd7yyuozgf8
問い合わせ:日本アーカイブズ学会研究部会 jsaskenkyu2023★gmail.com(★を「@」に変換してください。)