日本アーカイブズ学会は2008年5月30日、上川陽子公文書管理担当大臣宛に、要望書「アーカイブズ制度の拡充に向けて(要望)」を提出しました。
これは、同年5月21日に開催された日本アーカイブズ学会委員会の決定に基づいて提出されたものです。
要望書では、アーカイブズ制度の拡充に向けた諸課題のうち、特に以下の4点についての検討を求めています。
1.アーカイブズ法制の整備並びにアーカイブズ政策の構築について
2.公文書館法の附則第2項の撤廃について
3.アーキビスト養成と資格認定制度について
4.アーカイブズ学研究の振興について
なお、要望書の全文は以下の通りです。
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公文書管理担当大臣
上 川 陽 子 様
会長 高 埜 利 彦 (公印)
日本アーカイブズ学会は、日本のアーカイブズ学を一層進展させるため平成16年に設立されました。当学会は、①アーカイブズの管理に関する研究、②アーカイブズの成立・構造・伝来などに関する研究、③アーカイブズの教育・研修に関する研究などを主な研究領域として活動を行ってきました。とくに、アーカイブズ教育研究を領域として掲げたのは、アーカイブズ制度の中軸を担うべきアーキビストの養成制度がわが国では不十分であるという現状認識に立っているからです。
アーカイブズ制度の確立とアーキビスト養成及びその配置問題は、わが国のアーカイブズ政策にとって解決が急がれる課題だと考えます。このような考えから、本年3月1日には「アーカイブズ法制の一層の整備に向けて」をテーマとする研究集会を開催し、4月20日にはシンポジウム「アーキビスト資格制度の構築に向けて」を開催するなど、わが国アーカイブズ制度が直面している諸問題について広く注意を喚起して参りました。
政府におかれましては、福田康夫首相の指示により、文書管理政策の改善を主導する「公文書管理担当大臣」が設けられ、また3月に設置された「公文書管理の在り方等に関する有識者会議」は、「新たな文書管理法制の在り方を含む、国の機関における文書の作成から国立公文書館への移管、廃棄までを視野に入れた文書管理の今後の在り方及び国立公文書館制度の拡充等について検討を行う」ことを目的としております。わが国における文書管理およびアーカイブズ政策上において重要かつ画期的な検討が加えられることと期待しております。
しかしながら、わが国におけるアーカイブズ制度の確立のためには、国のみならず地方公共団体等の文書管理、およびそれと密接不可分の関係にあるアーカイブズ制度の充実は欠かせない問題ですので特段の検討を要望いたします。具体的には、下記の事項について検討していただき、今後のわが国のアーカイブズ制度確立の方向を明示していただきたいと存じます。
1.アーカイブズ法制の整備並びにアーカイブズ政策の構築について
2.公文書館法の附則第2項の撤廃について
3.アーキビスト養成と資格認定制度について
4.アーカイブズ学研究の振興について
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