私たちは、コンピュータの飛躍的発展により、かつて人類が経験した「話す世界」から「書く世界」への変化に等しいような情報変革の時代にさらされている。
この時代は、いままでに遺されてきたアーカイブズに関する情報の提供方法を変えつつあるのみならず、今後作成され、収受され、保存される記録のあり方を根本的に変えることをも強要している。
このような状況にもかかわらず、証拠書類として永久に遺される記録、すなわちアーカイブズを将来に十全に遺していくための学問的研究は、この日本にどれほど培われてきたのであろうか。残念ながら、はなはだ不十分であるといわざるをえない。
それ故に、私たちは,日本のみならず世界に遺されたアーカイブズ、そして将来のアーカイブズとなる記録の生成、保存及び活用についての理論と技法を研究し、実践するため、この学会を創設することとした。
アーカイブズは、団体、家および個人が作成し、収受し、保存されてきた記録からなり、手書きや印刷された紙媒体のもの、電磁的記録のもの、そしてオーラルヒストリーなどからなっている。
このアーカイブズに関する科学的研究は、(1)アーカイブズの管理に関する研究、(2)アーカイブズの成立・構造・伝来などに関する研究、(3)アーカイブズの教育・普及に関する研究などから構成されており、歴史学、社会学、情報学など既存の様々な学問分野の学理と連携しつつ、独自な領域をもつものである。この科学的研究は、アーカイブズの保存及び関連する諸課題の解決に資するという役割を担うものでもある。
また、この科学的研究と同時に、アーカイブズの保存及び関連する諸課題に対する実践を、このアーカイブズの科学的研究に関わるものは求められている。
アーカイブズに関する科学的研究と実践を担うものとしてアーカイブズ学を構築し、アーカイブズの適切な生成、保存、活用による平和で豊かな民主社会の実現に資するため、このアーカイブズ学会を設立する。
2003年10月4日
日本アーカイブズ学会(仮称)設立発起人
青山 英幸 | 浅古 弘 | アンソニー・ジェンキンズ | 安藤 福平 | ||
安藤 正人 | 石原 一則 | 内田九州男 | 大河原知樹 | 太田 富康 | |
大藤 修 | 大友 一雄 | 神谷 智 | 神立 孝一 | 吉良 芳恵 | |
久保田昌希 | 久留島 浩 | 毛塚 万里 | 小風 秀雅 | 定兼 学 | |
佐藤 勝巳 | 菅原 憲二 | 鈴木 邦男 | 高野 修 | 高埜 利彦 | |
高橋 実 | 高松 洋一 | 武内 房司 | 立川 孝一 | 田中 康雄 | |
谷本 晃久 | 戸島 昭 | 冨善 一敏 | 富田 正弘 | 中野 等 | |
中野目 徹 | 永田 治樹 | 永村 眞 | 西村 健 | 広瀬 良弘 | |
福井 憲彦 | 藤井 譲治 | 藤吉 圭二 | 保坂 裕興 | 保立 道久 | |
松井 輝昭 | 松尾 正人 | 水口 政次 | 水嶋 英治 | 水野 保 | |
宮崎 克則 | 森本 祥子 | 八重樫純樹 | 山陰加春夫 | 山崎 一郎 | |
横山 伊徳 | 吉井 敏幸 | 吉田 千絵 | 吉田 伸之 | 渡辺 佳子 |